小脳が障害されると、眼振や首を振りながら歩く、うまく段差を越えられない、など運動機能に異常が現れます。
子猫が歩行可能になった頃にそのような症状がみられた場合の先天的な疾患として、胎仔期のパルボウイルス感染、もしくは特発性の小脳低形成が考えられます。
<<症例 猫、未去勢オス、4カ月齢、ワクチン未接種>>
振戦、歩行異常を主訴に来院しました。元気・食欲は正常で、一般血液検査も異常なかったので、パルボウイルス抗体検査とMRI検査を実施しました。
MRI検査では小脳サイズの縮小、小脳周囲の脳脊髄液の貯留がみられたため、小脳低形成と診断しました。
<<正常な猫の小脳>>
パルボウイルス抗体検査で高い抗体価が得られたため、胎仔期のパルボウイルス感染症が原因だと考えられます。
生後2週齢以降にパルボウイルスに感染した場合は、より重症な汎白血球減少症となり症状や予後が全く異なりますが、胎仔期の感染の場合は、ある一定レベルで症状は進行しないとされています。