MRI検査に関するコラム

(16)下垂体腫瘍におけるMRI検査

下垂体は、大脳のほぼ中央真下に位置し、副腎皮質刺激ホルモンを分泌します。 副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)は、その副腎皮質ホルモンの過剰分泌が原因で起こる症候群です。犬では約8割が下垂体性であり、下垂体の副腎皮質刺激ホルモン分泌腫瘍が原因で起こるといわれています。

<<症例 MIX犬、11歳、避妊メス>>

下垂体性クッシング症候群の治療方針を検討するためにMRI検査を実施しました。MRI検査では、下垂体-脳面積比(PBR)を計測することで下垂体の腫大程度を評価することができます。PBR≦0.31が正常で、0.31以上となると腫大ありと判断されます。

MRI画像ではトルコ鞍にガドリニウム増強T1W(CET1強調画像)で高信号を示す下垂体腫瘤が認められました。

<ガドリニウム造影後T1強調画像>

※緑丸は下垂体腫瘤

※下垂体高(直線)と、脳面積(〇)を計測して計算します。PBR=0.47