MRI検査に関するコラム

(9)壊死性髄膜脳炎(NME)におけるMRI検査

壊死性髄膜脳炎(NME)は、免疫介在性(自己免疫)疾患として、大脳皮質や脳幹など脳のあらゆるところで炎症を起こし、その部分がどんどん壊死、軟化してしまう病気です。好発犬種はパグ、ヨーキー、マルチーズ、パピヨン、ポメラニアン、ペキニーズ、シーズー、フレンチブルドッグ、ゴールデンレトリバーなどで、数ヵ月齡~5歳くらいの若い子に発症することが多いです。

症状は発作や運動失調、意識レベルの低下など様々な神経症状が見られます。

診断はMRI検査や脳脊髄液検査を行います。MRI画像ではT2W(T2強調画像)、FLAIR(フレア画像)で高信号を示す脳の炎症、浮腫病変が認められます。進行するとT1W(T1強調画像)で低信号を示す脳の壊死や軟化が拡がっていきスポンジのようになってしまいます。

治療はステロイド薬や免疫抑制剤、抗てんかん薬などが主体となります。

<<症例>>

マルチーズ、1歳、オス

主訴:数ヶ月前から痙攣発作やふらつき

T2W(T2強調画像)-横断像- 大脳皮質に広範な高信号領域が見られます

FLAIR(水抑制画像)-横断像- 側脳室周囲の大脳皮質の炎症、浮腫が読み取れます

T1W(T1強調画像)-横断像- 同部位が軽度の低信号を示しています。病気が進行すると脳が壊死、軟化し黒く穴があいたスポンジのようになっていきます

T2W(T2強調画像)-矢状断像-  大脳皮質に広範な高信号領域が見られます