MRI検査に関するコラム

(6)脊髄空洞症におけるMRI検査

脳や脊髄の周囲、また脳室や脊髄の中心管内部には脳脊髄液という液体が循環しています。この液体が脳室内に過剰に貯まってしまう病気が“水頭症”、脊髄実質や脊髄中心管に貯まってしまう病気が“脊髄空洞症(水脊髄空洞症)”です。

チワワ、ポメラニアン、キャバリア、ヨーキー、ミニチュアダックスフンドなどの犬種で多く見られ、ほとんどが先天性と言われています。

無症状のものから、知覚過敏や頚部痛、四肢の麻痺症状など重症度によって様々な症状が見られます。痛みや麻痺の症状によって内服薬による保存療法や手術による外科治療などを検討します。

<<症例>>

MIX犬、1歳、未避妊メス

主訴:10日前から体を触ると痛がって鳴き、2日前から歩行できなくなった

<MRI検査 T2W(T2強調画像) -矢状断像->

第四脳室が拡張し、頸髄が広範囲に高信号を示し、脳脊髄液貯留と中心管の拡張が認められます

<MRI検査 T2W(T2強調画像) -横断像->

中心管は高信号を示し、顕著な拡張が認められます

本症例は脳脊髄液を抜去した後、点滴治療と内服治療を継続し、一般生活ができるレベルに回復しました。