沖縄県内初のマルチヘリカルCT導入

(34)猫の膵炎におけるCT検査の活用

中高齢の猫ちゃんで、食欲が無い、嘔吐の回数が増えた、何だか元気がなく、痩せてきている、という症状を訴えて来院されるケースが多くなっています。

腎不全、糖尿病、甲状腺機能亢進症、膵炎、腫瘍性疾患など、これらの病気ではいずれも同じような症状が見られます。

今回はCT検査が診断に有用であった症例についての紹介です。

<症例1>

猫 (Mix) 8歳 避妊メス

主訴は食欲低下、元気消失、嘔吐で、各種検査で確定診断が下せなかったため、CT検査を実施しました。

膵臓が不整な形で、腫大していました。

膵炎に対する治療を行った後、症状はなくなりました。

<症例2>

猫 (メインクーン) 8歳 避妊メス

主訴は1か月前から食欲不振、呼吸が荒い、よだれが出る、けいれん、血液検査では総胆汁酸、アンモニアの高値が見られました。

精査の為、CT検査を実施しました。

膵臓の不整な腫大と膵管の拡張、さらに門脈内に血栓が認められました。

膵炎および血栓塞栓症にたいする治療を行い、症状は改善しましたが、現在も継続治療中です。

猫の膵炎は、何となく元気がない、食欲がない、などあまりはっきりとした症状を示さないことが多い病気です。また、血液検査やエコー検査でも大きな異常が見られないことが多々あります。

そのため今回のように各種検査で疑わしい疾患を除外した上でCT検査に進むことで、初めて膵臓の病変が発見される場合があります。