一年間、動物病院とペットの話、とりわけエキゾチックアニマルについて話をしてきましたが、今回が最終回になります。みなさま一年ご愛読していただき誠にありがとうございました。
最後に現在のペット医療最前線についてお話します。
現在、ペットの平均寿命が伸びている背景には、ペット医療の充実、ペットフードの品質向上、ペットの飼育環境向上などがあげられます。
また社会において動物愛護に対する認識が高まり、ペットが愛玩動物と呼ばれるようになり、家族と親密な絆で結ばれるようになってきました。
ペット医療の現場ではペットの高齢化に伴い、病気の種類が変化してきました。例えば、以前多かった感染症、食事・栄養関連疾患などの病気が減少し、近年ではガン、心臓病、脳疾患などの病気が増加しています。
それらを治療するために高度医療と呼ばれる、CT検査、遺伝子検査、高度医療機器を用いた手術などの需要も増え、それに伴い高額医療も増えてきました。
動物病院では、多様化するニーズに応えるよう、病院単体の治療・研究にとどまらず、各病院間の連携を強化し細分化された医療を目指すようになってきました。また、高額医療に対してもペット保険の普及などに努めています。
一方、今も昔も変わらずペット医療の現場で重要なことは動物と飼い主と動物病院が信頼関係を築くことです。そのうえで獣医師は、医療の基本である心からの「手当て」を行います。これからも動物たちの心の声を聞き、最善の医療に努めてまいたいと思います。
<CT検査を受けるワンちゃん>
「かふう」2014年3月7日掲載