コラム

(29)ウサギの膿瘍

ウサギの膿瘍は、知る人ぞ知る、やっかいな病気です。

なぜやっかいかというと、完治させるが難しいからです。

体のあらゆる部分(眼、顔、体、手足など)にできる膿瘍の中身はチーズ様の膿です。

抗生剤を投与してもほとんど変わりません。膿瘍の中の膿をすべて出しきって洗浄しても、1ヶ月ぐらいで同じ大きさになります。やむなく、膿を定期的に排膿することで対症療法するケースも多いと思われます。

唯一、膿瘍を完治させる方法は、外科手術により膿瘍の被膜ごと完全切除することだと思われます。

今回は、不正咬合により顔に大きな膿瘍ができたウサギさんを紹介します。

膿瘍の中身はチーズ様の膿でした。

上顎臼歯には不正咬合があり、おそらくこれが原因で膿瘍をつくったと思われました。

レントゲン写真では上顎の骨融解を伴っていました。

飼い主さんの希望により外科手術で完全切除を目指すことになりました。

手術後です。拡大切除により膿瘍を取りきりました。

手術から2ヶ月後です。再発もなく元気にしております。